【医師が解説】ミノキシジル内服と外用、何が違う?安全な使い方と注意点 - インフィニティヘアクリニック
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【医師が解説】ミノキシジル内服と外用、何が違う?
安全な使い方と注意点

【医師が解説】ミノキシジル内服と外用、何が違う?
安全な使い方と注意点

インフィニティヘアクリニック静岡院

2025年5月30日 13:15

こんにちは!
インフィニティヘアクリニック静岡院です。
ミノキシジルは薄毛治療で最も良く聞くお薬かと思います。
既に薄毛治療に対する効果のエビデンスも出ており、薄毛治療には欠かせないお薬と言えます。
今日はそのミノキシジルについて徹底解説していきたいと思います。

AGAとFAGAの違い

AGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性男性型脱毛症)のいずれも薄毛が進行するという点は同じですが、いくつかの相違点があります。
AGAはホルモンが原因であることが多いですが、FAGAはホルモン以外にも甲状腺疾患・貧血・膠原病等原因が多岐に渡る事が多いです。
またAGAとFAGAでは脱毛様式にも違いがみられます。
AGAは角額(M字)や頭頂から、もしくはその両方から脱毛が始まり癒合していきますが、FAGAは頭頂部がびまん性(全体的)に脱毛していく事が多いです。なお女性でAGAのようにハミルトン分類のような脱毛様式の場合は男性ホルモンが薄毛の主原因である可能性が考えられます。

Norwood-Hamilton分類
AGAでの脱毛様式(ハミルトン分類)
ルードヴィッヒ分類(FAGA)
Ludwing分類

ミノキシジルとは?

ミノキシジルとは?

成分の概要と歴史

ミノキシジルの外用薬は薄毛ガイドラインで推奨度Aとされる治療法です。もともとミノキシジルは当時のアップジョン社、現ジョンソンエンドジョンソン社が高血圧を治療する薬として開発しました。
副作用として多毛が指摘され、そこから薄毛治療に用いられるようになりました。1970年代後半に薄毛治療薬への研究が開始し1988年には、ミノキシジル2%外用薬がAGA治療薬としてFDAに承認。1990年には日本で一般医薬品として販売が開始されました。

AGA(男性型脱毛症)/FAGA(女性男性型脱毛症)への適応

薄毛ガイドラインにおいてミノキシジルの外用薬は推奨度A(行うことを強く勧める)となっています。また現段階では男女ともに推奨度Aとされる唯一の薬となっています。

ミノキシジルの作用機序

実はミノキシジルの作用機序はいまだ完全には解明されていません。
ですが現在までに分かっている事を以下に記載します。

1.血流促進

ミノキシジルの代謝産物である硫酸ミノキシジルが血管平滑筋を弛緩させる事で末梢血管が拡張します。血管が広がる事により毛包周囲の血流が増加して、毛の成長を促すと考えられています。

2.DNA合成促進

ミノキシジルの代謝産物である硫酸ミノキシジルによりカリウムチャネルが開口されます。ラベリングしたシステイン、アミノ酸、チミジンの取り込みが促進され、これによりミノキシジルはカリウムチャネルの活性化を介してDNA合成の促進・毛包細胞の増殖を促すと考えられています。

3.細胞成長因子の産生促進

ミノキシジルは毛周期における増殖因子のIGF,HGFの産生を促進します。
また毛乳頭細胞にミノキシジルが作用すると、毛包周囲の血管新生を促進するVEGFの発現が高まると言われています。

4.抗アンドロゲン作用を有する可能性

ミノキシジルが直接アンドロゲン(男性ホルモン)受容体に結合し、その標的遺伝子の発現を抑制している事が報告され、ミノキシジル自体にも抗アンドロゲン作用を有する可能性が示唆されています

5.抗炎症作用

ミノキシジルの使用によりIL-1α遺伝子発現の有意な低下が認められ、その抗炎症作用が脱毛症治療の作用機序の一つである可能性が示唆されています

ミノキシジル外用薬とは?

ミノキシジル外用薬は薄毛治療のガイドラインではAGA、FAGAともに推奨度Aとされる唯一の薬となります。

<使用方法>

男性 5%を一日2回塗布
女性 1%を一日2回塗布

いずれも髪の毛ではなく、髪の毛をかき分けて頭皮にしっかりと塗る事が重要です。またミノキシジルの濃度が変わってしまうので、必ず乾いた頭皮に塗布してください。

現在ガイドラインでは女性のミノキシジル使用については、1%を一日2回塗布となっています。ただ海外の論文では5%を1日1回塗布したほうが、逆に副作用の出現(皮膚症状)が少なかったという報告もあります。
当院では女性の方にも5%からの処方をお勧めしておりますが、ご心配な方はもちろん低濃度からの使用でよいかと思います。

<副作用>

皮膚:頭皮の発疹・発赤,かゆみ,かぶれ,ふけ,使用部位の熱感等
精神神経系:頭痛,気が遠くなる,めまい
循環器:胸の痛み,心拍が速くなる
代謝系:原因のわからない急激な体重増加,手足のむくみ
ある文献では102人中、アレルギー性接触皮膚炎が2人、そう痒症が4例と記載がありました。皮膚の副作用に関しては5%程度の出現率、その他循環器や代謝系の副作用に関しては1%未満程度でしょう。

<外用薬のかぶれ軽減について>

外用薬で多くのかぶれの原因となる物質が、プロピレングリコール(PG)である事が分かっています。
ミノキシジルは水に溶けにくいため、プロピレングリコールで浸透しやすくするのです。最近ではこのプロピレングリコールフリーのミノキシジルも開発されています。
当院で採用しているベラルティスもプロピレングリコールフリーです。
実際に私も使用していますが、以前使用していたもの(日本製の製品でした)よりさらさらとしていてべたつきが少ない印象です。(個人的感想)

当院採用ベラルティス
当院採用ベラルティス

ミノキシジル内服薬とは?

ミノキシジル内服薬は現在薄毛治療のガイドラインでは推奨度D(行うべきではない)とされています。
これは利益と危険性が十分に検証されていないため、現段階では推奨度Dとなっています。ガイドライン上で認められていないため、内服容量についてもコンセンサスが取れておらず、処方する病院によってまちまちとなっています。
当院では利益と危険性が十分に検証されていないという理由でガイドラインに記載がないため現段階では採用をしておりません。
他院での処方例を記載致します。

<使用方法>

  • 一般的に2.5mg~5mg、時に10mgの錠剤で使用
    (10㎎での内服は薄毛治療ではかなり高容量と思って頂いた方が良いです。10mg~40㎎は本来の治療目的である高血圧治療に用いられる容量であるため、血圧低下等のリスクが高くなります。)
  • 1日1回の内服が基本(朝または夜)

<副作用>

本来の高血圧治療での容量による副作用

  • 体液貯留
  • 急性肺水腫
  • 肺高血圧症
  • 心電図異常
  • 胸水など

通常であれば、高血圧治療域程の容量を処方するクリニックはまれだと思われます。ですので、薄毛治療での容量で出現する副作用は外用薬と同様です。頻度としては内服薬の方が高くなります。
また頭皮へ塗布しない点から、頭皮のかゆみや赤みといった副作用は起こりにくいでしょう。
精神神経系:頭痛,気が遠くなる,めまい
循環器:胸の痛み,心拍が速くなる
代謝系:原因のわからない急激な体重増加,手足のむくみ(内服では約3%で認められた報告あり)

<ミノキシジル内服による多毛>

ミノキシジルの用量が増加するにつれて毛髪以外の多毛症の発生率が上昇します。

  • 0.25~0.75 mg/日  28.9%
  • 1~1.25 mg/日   30.4%
  • 2.5~5 mg/日   86.8%

投与量が上がるにつれて有意に多毛症のリスクが上昇します。

外用薬と内服薬の比較一覧

外用薬と内服薬の比較一覧

             

比較項目 外用ミノキシジル 内服ミノキシジル
医薬品承認 日本国内で承認済 日本では未承認(高血圧薬としても)
主な副作用 頭皮のかゆみ、発赤など 多毛症 動悸 むくみなど
安全性 比較的安全 安全性の検証不十分

ミノキシジル内服薬の展望

ミノキシジル5%の外用と1㎎の内服では毛髪密度・毛髪直径において、有意差がなかったとの報告があります。
また内服を使用する際は低用量での研究がほとんどで、女性は0.25mgから2.5mg/日の低用量、男性は最大効果を得るためには1.25mgから5mg/日の高用量が必要とされています。
現段階では安全性の検証が不十分な事から当院では採用をしておりません。
なぜなら当院はエビデンスに基づき、患者様の安全を守りながら毛髪治療に臨んでいただきたいからです。
今後のガイドラインの動向にも注力してまいります。

よくあるご質問

よくあるご質問

Q.ミノキシジル治療の効果はどのくらいで出ますか?

ミノキシジル使用により毛周期が整えられますので、半年頃より効果を実感いただけると思います。
毛髪治療は即効性のある治療が無いため、継続してご使用頂く事が重要となります。

Q.初期脱毛は起こりますか?

毛周期が整えられると、今まで十分に成長せずに休止期に入ってしまった細く短い毛が、次の健康な成長期の毛髪に押し出され抜けます。
これを初期脱毛と言います。
ミノキシジルでの治療でも、毛周期が整うとこの初期脱毛が認められる場合があります。治療開始から1か月程度で起こる方が多いでしょう。
ですが、徐々に収まりますし、初期脱毛は治療が効いているサインですので、ここで治療をやめない事が重要です。

Q. 外用薬だけで本当に効果はありますか?

はい、効果が認められています。
こちらはフォーム型の報告ですが、
脱毛部 1 cm2 内の毛髪数のベースライン からの増加は、プラセボ群が平均 4.7 本だったのに対 し、フォーム(泡)型 5%ミノキシジルは平均 20.9 本 と,有意(p<0.0001)に増加した
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

Q. なぜ内服薬は妊娠中の女性に禁忌なのですか?

妊娠中の女性に対し、その安全性が検証されていないからです。
論文報告では新生児の多毛症のリスク増加の指摘、ヒト乳汁中にミノキシジルが分泌される可能性があるため、妊娠中・授乳中の女性には禁忌とされています。
なおミノキシジル外用薬に関して、催奇形性のリスクは無いという報告もありますが、やはり妊娠中の女性は使用しない方が安全と言えます。

Q. なぜ内服薬は海外では普通に使われているのに、日本では未承認なのですか?

じつは男性型脱毛症の治療薬として認可されている国は、現在の所ありません。ですので海外で普通に使われているという認識は少し間違っています。あくまで適応外使用として使用されているのです。
国内でも十分な安全性データが不十分であるため、慎重な対応が求められています。

まとめ

ミノキシジルには外用・内服の2種類がありますが、現段階ではその安全性の観点から外用薬の使用をお勧め致します。
ただし、どうしても外用では被れてしまう等の理由があり、他のクリニックで処方を受ける際も容量に注意をして頂きたいと思います。

インフィニティヘアクリニックでは、
日本国内で承認された外用ミノキシジルを中心に、安全性の高い治療を提供しています。必要に応じてその他の内服薬、再生医療・生活指導などを組み合わせ、無理なく続けられる薄毛治療をご提案します。
安心して受けられる治療が継続にもつながると思いますので、「まずは試してみたい」「副作用が不安」「自分に合う治療法がわからない」
そんな方も、ぜひ一度当院にご相談ください。
あなたにとってベストな治療法を、一緒に考えていきましょう。

当院は薄毛治療に特化したクリニックとなっており、内服から外用、LED治療・再生医療・植毛まで患者様お一人お一人に合わせた治療をご提案すべく、豊富な治療法をご用意しております。
薄毛の知識をしっかりと知っていただきたい、またご不安を教えていただきたいという思いから、カウンセリングを無料としております。
まずはご相談のみでもご来院いただけますと幸いです。

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参考文献