インフィニティヘアクリニック静岡院
2025年8月1日 01:12
こんにちは!
インフィニティヘアクリニック静岡院です。
当院は静岡駅南口徒歩5分にある薄毛に特化したクリニックとなっております。実は円形脱毛症に悩まれる患者様からのお問合せも多く頂戴しております。
多くの患者様は既に治療を開始されており、「治療しているが治らない」「このままどんどん抜ける範囲が増えるのでは?」と不安をお持ちで当院に来院されます。
正しい知識を知っていただき、少しでも患者様のご不安を和らげる事が出来ましたら幸いです。
AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)は比較的ゆっくりと進行し、最近抜け毛が気になるかな?髪の毛のコシが無くなってきたかな?となんとなく気になるなという所で治療を開始される方が多いです。
一方円形脱毛症の抜け方は急激です。
ある時気が付いたら、ごそっと髪の毛が抜けていたという方がほとんどです。また円形から円形に似た形で脱毛が生じる場合が多いです。
頭髪に対する脱毛で気が付かれる方が多いですが、場合によってはまつげ・眉毛・ひげ・体毛にも起こりえます。
円形脱毛症の発症率には男女差はないとされていますが、女性の方が多い傾向にあるという論文もあります。
幅広い年齢層での発症が報告されており、80%以上が40歳までに発症すると言われています。年間有病率は18~44歳の年齢層で最も高く、65歳以上の年齢層で最も低いとされています。
円形脱毛症の原因について、古い論文にはストレスが直接の原因であるという記載がされていました。
しかし最近では原因については新たな見解が主流となっています。
現在の主な原因として指摘されているのは自己免疫反応によって脱毛が起こるとされるものです。髪の毛はもともと免疫特権を示す組織の一つです。
免疫特権を示す組織は過度な炎症を避けるべき組織とされる前眼房、胎盤組織、精巣、中枢神経、爪母などにも認められます。
免疫特権がある組織は細胞障害性T細胞から見つけられにくいので、攻撃を受けにくいのです。
毛組織は哺乳類にとって皮膚保護や体温維持に非常に大切な組織ですので、免疫特権のある組織となります。この免疫特権が破綻してしまうと、細胞障害性T細胞により成長期毛包が攻撃を受けて、脱毛に至ります。
また次の成長期のサイクルに入れないため、新しい髪の毛が生えてきにくい状態となってしまうのです。
昔はストレスが円形脱毛症の直接原因とされていましたが、ストレスは直接の原因ではない事が分かっています。
もちろん、多大な身体的・精神的ストレスによって免疫機能の異常が起こり円形脱毛症に至るという事は考えうるとは思いますが、そうであれば円形脱毛症の罹患率はもっと高くなるでしょうし、成人と比べストレスにさらされにくい小児にも円形脱毛症が発症する場合もあります。
現在ではHLA遺伝子タイプのアリル、免疫に関与する遺伝子多型を背景としてウイルス感染・身体的/精神的ストレス・出産等が引き金になる事があるとされていますが、明らかな誘因がない場合も少なくありません。
円形脱毛症は自己免疫疾患ですから、乱れた生活をしたから円形脱毛症になるという事ではありません。
ただし、最近の論文ではタバコ・アルコール・睡眠不足・グルテンの過剰摂取等がもともと円形脱毛症の素因を持っている方の場合、発症を誘発する可能性について指摘されている論文があります。
円形脱毛症の生涯罹患率は約2%程度と言われています。
円形脱毛症の家族内発症は約5~8%程度です。
一方、円形脱毛症のほとんどの症例に家族歴がないことが確認されているという論文もあり遺伝については、はっきりとは分かっていません。
乾癬や白斑などの遺伝性疾患を持つ人と円形脱毛症の発症率には関連があり、免疫系の機能に重要な役割を果たすいくつかの遺伝子が関連していることから、遺伝が円形脱毛症の発症に重要な役割を果たしており、それがこの病気に影響している可能性があると示唆する論文も存在しています。
円形脱毛症になる方のなかに、甲状腺疾患や尋常性白斑・エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、乾癬等の自己免疫疾患を合併する方がおられるのは知られている所です。
アトピー性皮膚炎を始めとしたアトピー素因をお持ちの事が多く、その場合若年発症や重症化と相関すると言われています。
またAGAやFAGAと円形脱毛症が同時に起こっている場合もあり、頭部全体の状態やマイクロスコープによる毛髪所見をしっかりと確認することが重要です。
実は円形脱毛症は正確には抜けるというより、攻撃を受けてボロボロになってしまった毛が切れるという表現の方が正しいです。
ですので、抜けている毛はどちらかというと短く毛球が付いていない事も多いでしょう。
円形脱毛症は頭部の何割に起こっているかで重症度が変わってくるため、重症度分類が設けられています。
SALTスコアがその一つです。
頭部を4つの領域 (頭頂部40%・右側頭部18%・左側頭部18%・後頭部24%) に分割し、 それぞれの面積割合と脱毛割合を掛け合わせた上で合計することにより算出します。
SALTスコアS0:完全な発毛(治癒)
S1:脱毛巣が頭部全体の 25%未満
S2:脱毛巣が 25~49%
S3:脱毛巣が 50~74%
S4:脱毛巣が 75~99%
S5:100%(全頭)脱毛
S2(25%)以上からが重症と考えられています。
重症度や病期によって治療法も異なるため、重症度をしっかりと確認することが重要となります。
軽症であれば、自然に治癒する場合もありますが頭皮の25%を超える場合は積極的に治療介入を行う必要があります。
また軽症と言って放置することで、結果的に病状が進んでしまう事もありますので、円形の脱毛を見つけたら医療機関に受診することをお勧め致します。
現在の円形脱毛症ガイドライン上で推奨度1とされている治療は、実はステロイドの外用・注射、経⼝ JAK 阻害薬または JAK3/TEC ファミリーキナーゼ選択的阻害薬 、かつらの使用の4つのみです。
経⼝ JAK 阻害薬または JAK3/TEC ファミリーキナーゼ選択的阻害薬においては、①頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ、過去6カ月程度毛髪に自然再生が認められないことという使用制限があります。
⇒単発もしくは多発型の成人患者様向け治療法
副作用として、注射時の痛みや注射部位の萎縮が認められる場合があります。長期投与した場合に骨粗鬆症・緑内障等の副作用に注意が必要となります。お子様については長期経過をみた症例が少なく有益性と危険度を比較することができない事と注射という痛みを伴う事から推奨はされていません。
最近では注射に使うトリアムシノロンという製剤の欠品が相次いでおり、注射自体が行えない場合が出てきています。(2025年7月現在)
⇒ほぼすべての年齢・重症度の患者様においてファーストチョイスになる
こちらも注射療法と同様に長期使用により皮膚の萎縮、血管拡張、陥凹を起こす事があるので漫然と使用せず、医師と相談しながらの使用が必要です。
2022年6月に重症円形脱毛症に対して、保険適応で使用ができる薬として登場したのがこの薬です。円形脱毛症は自己免疫疾患であり、こちらの薬は免疫抑制剤となります。
日本ではバリシチニブ(オルミエントⓇ)とリトレシチニブ(リットフーロ)が保険適応となっています。
エビデンスレベルも高く効果が認められる治療ですが、治療に際しては取り決めがあります。
免疫抑制剤は字のごとく、免疫が抑制されるため感染症罹患リスクがあがります。そのため全身状態の確認や定期的な検査が必要となります。
(PUVA 療法・エキシマライト/レーザー・narrow-band UVB 療法)など
薄毛治療(AGA/FAGA)において、LED治療は既に推奨度B(根拠あり、行うよう勧められる)となっています。
円形脱毛症の治療において、ガイドラインでは推奨度3にとどまっています。既にエビデンスレベルの高い論文が存在していますが、精査が行われていないので現段階においては推奨の判断ができないという理由で推奨度3となっています。
しかし既に薄毛治療で効果が認められている点、エビデンスの高い論文が存在する点、副作用がほぼないという点から当院では円形脱毛症の方の治療にLEDを取り入れております。
今後更に症例が増え、精査が行われれば推奨度が変わる可能性もあると言えます。
⇒LED治療についての記事はこちら
漢方薬は治療において推奨されません。
比較的大規模な試験が行われたものの、自然治癒率を上回る効果があるか明確でない点、「漢方薬」とひとくくりで効果を検討しており個別の漢方薬について精査されていない点から有効性は実証されているとはいいがたい状態です。
またシクロスポリン(免疫抑制剤)の内服も推奨されていません。
シクロスポリンの治療はプラセボ群と有意な差が無く、単剤の治療では再発率100%と言われています。副作用と再発率を考慮し、推奨されていません。
円形脱毛症は一度治っても再発をする可能性がある疾患です。
円形脱毛症になる素因がある方がタバコ・アルコール過剰摂取・睡眠不足・グルテンの過剰摂取等の生活を行うと発症する可能性があるという論文が存在するため、再発を防ぐという意味でも規則正しい生活を送る事は重要となってきます。
円形脱毛症の治癒過程は少し特殊です。
患者様からお聞きするご不安で、
「産毛だけになってしまい、どんどん薄くなっている気がする」
というお声を聞く事が良くあります。
じつはこの「産毛」は治療が進んでいる証拠です。
逆に黒点と呼ばれる短く太い毛がある場合はまだ病状が収まっていない状態です。厳密には円形脱毛症は抜けるというよりも、細胞障害性T細胞により攻撃を受けた毛球部周囲から生えた毛がぎざぎざになって切れてしまうのです。この切れ毛として残っているのが黒点です。生えてきている毛の様に思うかもしれませんがそれは違います。
ですのでくるくるとした産毛が生えているのは、「産毛だけが残ってしまった」のではなく、新たな髪の毛がようやく新生してきたのだという証拠なのです。
また新たに生えてくる毛は白髪である事も多いです。
ですのでマイクロスコープで見なければ回復しているかもわからない時期があり余計に不安になる事も少なくありません。
ご自分の病状がどの時点にあるのかがわからずに治療をするのは、ゴールが見えずに辛い状態であると思います。
円形脱毛症の治療はすぐに効果が出るものではありませんので治癒過程を知り、焦らず治療に臨んでいただきたいと切に願います。
円形脱毛症はある日突然気が付き、ごっそりと髪の毛が抜けてしまうために、想像よりもずっと患者様の心に重くのしかかる問題となってきます。
お一人で悩まず、まずは医療機関にご相談下さい。
そもそも円形脱毛症なのか、どの程度の重症度なのか、どのような治療が適しているのかをしっかりと医師と相談しご自分の病状を知るところから治療は始まります。
円形脱毛症は自己免疫の関与が示唆されており、再発を繰り返す場合も多いのが実情です。
初めて円形脱毛症になったときは、驚きや不安が強く、治療を受けて一旦は改善しても「また同じ場所が抜けた」「新たな部位に脱毛が…」という経験をされる方も少なくありません。
そのような患者さまに共通するのは、「自分の何がいけなかったのか」「このままずっと治らないのでは」と自責や焦りを感じてしまうことです。しかし、繰り返す円形脱毛症は決して「本人のせい」ではありません。
円形脱毛症は自己免疫疾患のひとつであり、完治までに時間を要することがあります。再発もその一部であり、「治っていないのではなく、波があるもの」と捉えることが大切です。
当院では治療中にお困りの事やご不安な事があった場合はいつでもご来院頂ける体制を取っております。
また医師によるマイクロスコープによる頭皮の確認も適宜行いますので、病状を患者様と共有できるため安心をして頂けるポイントです。
またLINEでもご相談をして頂けます。
お一人で悩まず、まずはご相談下さいませ。
軽症例は自然治癒をする場合がありますが、自然治癒するからと放置した事で治療時期を逃し病期が進行してしまう場合があります。
早期治療がカギとなりますので、円形の脱毛を見つけた場合はまず医療機関にご相談下さい。
円形脱毛症はマイクロスコープによる診断がとても有効です。
当院でもマイクロスコープを使用し、頭皮の状態を確認しております。
またミノキシジル外用薬やLED等の治療のご提案が可能となります。
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